手付金の本来の意味

手付金によって不動産トラブルを回避している面もあるんです。

手付金があるから契約を破棄することができ、手付金以上の金額を支払わなくていいんです。

前項で不動産売買における「手付金」を「売買の当事者が手金流し、手金倍返しによって、解除できるもの」とする『解約手付』の意図が高いと説明をしましたが、この解約手付には「一度成立した契約を解除したいと買い主側が希望をした際に、一定期間内であればこの手付金を放棄する事でどのような理由如何でも一方的に契約を解除できるもの」という意味合いも入っています。
一定期間内とはこの場合、契約履行による手続きの開始、または建築の開始などですが、それが開始される前であれば、手付金を放棄すればその契約を一方的に解除ができるというものですので、考え方によっては買い手を保護しているものと考える事もできるのです。

例えば、よくよく吟味をし家族でよく話し合ったうえで、5000万円の分譲マンションの購入を決め、200万円の手付金を支払って売主である不動産会社と売買契約を結んだとします。
しかし、その数日後に新たな物件と出会ってしまいました。
それは売買金額が4700万円で立地、間取りともに5000万円で契約をした分譲マンションよりも自分達家族にとっては「良い物件」だと思えるものでした。
それでも一度売買契約を結んでいるのですから、その5000万円の分譲マンションの契約をおいそれと破棄する事ができるでしょうか?この時にその契約をおいそれと破棄する事ができると保証をしているのが「手付金」なのです。

手付金を放棄すれば一方的に契約を破棄する事ができると宅地建物取引業法39条に明記をされていますので、その手付金の200万円を放棄すれば、その契約を破棄し、新たに気に入った4700万円の分譲マンションの購入をする事ができるのです。
そして法律では売買契約を解除した際に相手方である不動産会社なりがその履行に着手するまでは買主はその手付を放棄して売買契約を解除することができ、それによって相手がそれ以上の損害を被ったとしても、手付金を超える賠償をする必要はないとされています。

契約解除の申し出は契約履行が進んでいた後ではそれ相当の賠償金が必要となりますが、書面で契約を交わしただけでまだ引き渡しに向けての手続き等が行われて位ない場合には無条件で契約を破棄できるというものなのです。
これを不服として不動産トラブルに発展をする場合がありますが、この宅建法39条を知っている人にしてみたら不服を申し立てること自体無理があると言われても仕方がないでしょう。
それよりも一定期間内とはいえ、手付金を放棄する事で、5000万円の契約を破棄する事ができるという事にメリットを感じるべきではないでしょうか。

この宅建法39条により手付金の本来の意味が定められていなければ、5000万円もの物件をキャンセルするとなれば違約金はいくらになるのでしょう。
ましてや相手側からのキャンセルの場合には「手付倍返し」とされています。
相手側からのキャンセルなんてそれほどあるものではありませんが、決して「無い事」でもありません。

特に売り手側が個人であり、不動産会社を仲立ちとした仲介物件であった場合、売り手である相手にも色々事情というものがありますので、売るつもりで不動産会社に仲介を依頼したとしても、その過程で諸事情によりやはり売るのはやめたいという事も多々ある事です。
この場合、買い手側は既に手付金を支払い、その物件の利用方法を考えて新たな生活基盤の設計を立てているのですから、一方的にキャンセルをされた場合にはその慰謝料の意味を含めての倍返しという事になっているのです。
売り手側はこうして「手付金の倍返し」を行う事で不動産トラブルを回避しているともいえるのです。

一方的にキャンセルできる事にメリットがあるのかと思う方もいるかもしれませんが、一方的にキャンセルできなければ双方の合意の元でなければキャンセルができないという事になります。
不動産会社の利益で考えてみると、キャンセルにより手付金を手にする事と、物件の売却、どちらが利益があるかといえば当然物件の売却ですので、なんとかキャンセルをしないようにと働きかけるでしょうが、この宅建法39条により保護されている買い手側は手付金を放棄すればキャンセルができるのですから、メリットはあるのです。

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