敷金の利用範囲

不動産トラブルになったからといって、必要以上に支払うことはありません。

請求された明細を、しっかり確認することも大事です。

「消費者契約法10条」で敷金の考え方について説明をしましたが、敷金に関しては更に詳細に法律によって定められています。
「民法第606条」では『賃貸人の修繕義務 賃貸人は賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をなす義務を負う』と定められており、「民法第316条」では『賃貸人が敷金を受け取りたる場合においてはその敷金を以て弁済を受けざる債権の部分についてのみ先取り特権を有す』と定められています。

詳しく見てみます。
「民法第606条」に賃借人は賃貸物で収益を得るために必要な修繕をなす義務があると定められています。
これは入居をしていた人が退去をし、次の人が借りてその賃料が収益として入る為に必要な修繕はその収益を得る立場である賃借人によって行わなければならないと法律で定められているという事で、退去をする人の敷金を費用として使用して良いとはされていません。
「民法第316条」では「弁済を受けざる債権の部分についてのみ」と記載されていますので、賃借者である家主が定めた場所すべてを修繕する必要はないと法律で定められています。
このふたつの法律により、自然消耗・経年劣化により修繕が必要となった箇所については敷金からの弁済の義務はないという事がよくわかるはずです。

自然消耗・経年劣化の実例として畳の日焼けやクロスのめくれなどを前項で紹介しましたが、それ以外にも冷蔵庫を置いた後ろ側には排気口からでる空気の跡が残りますが、これも普通に生活をしていく上では必然的に残る跡ですので、入居人のその修繕の義務はありませんし、家具を置いた場所に跡が残るのも当然の事ですので、こちらに関しても入居人の修繕義務はありません。
しかしこれらの修繕費に関しても、時として退去時の修繕に含まれてきてしまう為に、敷金の返済に関しての不動産トラブルが多々起こるのです。
更には網戸の小さな穴、画鋲程度の小さな穴なども生活をしていく上での自然消耗とみなされますので、修繕義務は賃借人の義務となるのです。

こうしていくつかの法律で敷金の使用範囲について定められているのにも関わらず、不動産トラブルの中で敷金の返却に関してのトラブルが多い理由は、借主の知識不足によるものが多いともいえます。
家主から届いた修繕費の明細を鵜呑みにする事無く、ご自身に支払い義務のない費用に関しては、きちんとその旨を訴えなければなりません。
それでも家主からきちんとした敷金の返却がなされない時には、消費者センターなどに相談、または訴訟いった事に発展をしていきますのが、その前にご自身が「法律によって定められている」という知識をもっていれば、そうした不動産トラブルを回避することができるのです。

また出来れば、退去をする時には荷物を家主と「立ち合いの場」を設ける事をお勧めします。
部屋の各部の汚れ、キズなどをお互いで確認し、それぞれその部分に関しては「経年劣化・自然消耗」として家主が負担する、または明らかに借主側に落ち度のあるキズや汚れの場合には借主の負担とするいった「合意」を得る、こうした時間を持ち事で、退去時における敷金返却といった不動産トラブルを回避することができるのです。
「非」を認める必要はありますが、必要外の支払いをする必要はありません。

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